DMAT看護師のヨッシーのブログ

ER看護師でDMAT隊員副隊長を務めているヨッシーのブログです。DMATに関する情報、日々のDMATの業務、看護の技術について等、DMAT看護師に興味を持っている方に役立つ情報を発信していきます。

自衛隊航空機を使ったDMATの広域搬送業務

   

皆さんは飛行機に乗ったことはありますか?

私は海外旅行などで飛行機に乗ったことはあります。

患者さんを搬送する手段としては救急車(消防)、病院のDrカー、民間救急車。地上での搬送手段ですね。空の搬送手段としてはDrヘリが有名だと思います。

しかし、災害が発生した時、特に震災などの自然災害は被災地の医療機関はライフライン(電気やガス、水道)の崩壊や建物の倒壊などで傷病者の受け入れができなくなったり、診療はとりあえずできるけどキャパシティを超えてしまった時、また重傷者で溢れてしまった時などは診療ができなくなるどころか、助かる命も助からなくなるという不幸な転帰となってしまいます。

そこでDMATが被災地内の病院に入り医療支援を行ったり搬送支援を行います。その一つに広域搬送業務というのがあります。

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自衛隊機を使う広域搬送

字のごとく遠くに搬送することもあるのですが広域搬送とは自衛隊機を使うことなのです。自衛隊機を使って搬送すると近くでも広域搬送と言います。

自衛隊機といっても搬送に使われる航空機はいくつか種類があります。

大型ヘリコプター、小型ヘリコプター、大型輸送機です。これらは有事の際にいろいろな用途に使われる航空機ですが災害時でも使われるのです。このことは私もDMATになるまでは知りませんでした。

C-1輸送機(大型のジェット国産輸送機です)C130ハーキュリーズ(プロペラが4つあるプロペラ機です)CH-47チヌーク(大型ヘリコプターでローターが2つあります)UH-1イロコイス(小型のヘリコプターです)などがあります。

飛行機のことを固定翼機、ヘリコプターを回転翼機と呼ぶことがあります。簡単ですがこれらの航空機の長所と短所をお伝えしたいと思います。

まず固定翼機の長所は機内が広い、航続距離(一回の燃料補給で飛ぶことができる距離)がながい、悪天候に強い、高速飛行ができ目的地まで短時間で到着することができる、与圧機能(機内が地上と同じ気圧で保つことができる機能)などです。逆に短所は出発までに時間がかかることです。

燃料補給や整備点検に時間がかかってしまうからなんです。それと離発着地が限られてしまうことです。

被災地の近くに自衛隊機が離陸したり着陸したりするところが近くにあるとは限りません。自衛隊基地か自衛隊機が離発着できる場所と限られてしまうからです。以上が固定翼機の長所と短所です。

次は回転翼の長所と短所です。

長所ですが学校のグランドなどヘリコプターが離陸したり着陸したりするスペースがあれば大丈夫です。それとジェット機などの大型の飛行機と違って機体も小さいので点検や整備も容易なのです。

しかし、短所もあります。機内が狭い、与圧設備がない、速度が遅い、航続距離が短い、悪天候に弱いなどです。

航空機内での医療

特殊環境下での医療の1つとして航空機内の医療があります。普段からDrヘリにお乗りの方はおわかりだとは思いますがこれもなかなか知られていないことが多いのでご紹介したいと思います。

旅行などで乗る航空機は快適性を第一に求められます。しかし自衛隊機などは快適性などは二の次になってきます。有事の際に快適性など考えられないからです。

快適性がないがゆえに搬送するときは注意点がいくつもあります。また問題点も多いです。振動や騒音気圧、照明の暗さ、重力、乱気流、静電気などの問題があります。これらは傷病者を搬送するときに大きな問題となるのです。中でも一番問題となるのは気圧なのです。

気圧が地上と比べると低くなります。

気管内挿管している患者さんのカフにairを入れて挿管チューブを固定しますが気圧が低い航空機内はこのカフがどうなるでしょうか?気圧が低い影響を受けてしまいカフの中のairが膨張してしまいます。膨張したairは気管損傷させてしまいます。またその影響でカフのair漏れも起きてしまいます。

固定翼や回転翼を問わず挿管している方を搬送している時は常にカフ圧を測定しなければなりません。

点滴も注意です。現在はガラスを使用した点滴は見なくなりましたがガラスの点滴は振動などで落下したら割れて危険です。気圧の関係で中のairをair針などでair抜きをしておかないと膨張し最悪の場合は破裂ということになってしまいます。また点滴が気圧の影響で急速に点滴速度が早くなったり逆流が発生してしまいます。

気圧の関係で起こることはまだまだあります。呼吸器系だと低酸素になってしまうことがあります。消化器系の患者さんを搬送している時は消化管ガスがお腹の中で膨張してしまうので事前の胃管挿入は必須です。

気胸の患者さんは緊張性気胸の防止のためにドレナージは必ず行わなければなりません。眼外傷の方は状態が悪化したり頭部外傷などで気脳症があると脳が圧迫をされてしまいます。

人工呼吸器を使用していると一回換気量が増えたりしてしまいますので呼吸器の再設定や換気量の監視を厳にします。

一口に航空機で搬送すると言っても場合によっては搭乗前に処置を施さないと危険だということがお分かりだと思います。

DMATの隊員が少数精鋭と言われるゆえんはこのような航空機の中という特殊な環境下の中でも航空医学を網羅し患者さんを守っているのです。







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