DMAT看護師のヨッシーのブログ

ER看護師でDMAT隊員副隊長を務めているヨッシーのブログです。DMATに関する情報、日々のDMATの業務、看護の技術について等、DMAT看護師に興味を持っている方に役立つ情報を発信していきます。

過酷な災害現場に突入するDMAT隊員 瓦礫の下の医療から瓦礫の中の医療へ

   

あらゆる災害が発生した時あらゆる現場に赴く医療チーム。それがDMAT(災害派遣医療チーム)です。

傷病者の命の危機に関わる災害急性期と言われる発災後48時間に活動するために機動性を持ち専門的な訓練も受けています。

広域で被害が甚大な場合に厚生労働省が運営する日本DMATに派遣が下名されます。東日本大震災の時は国内の340隊で約1500名の隊員が派遣されました。

過酷な災害現場

災害現場には必ずと言っていいほど負傷者がいます。救助は消防や警察、自衛隊の救助隊が行いますが救出した後は応急処置しかできません。本格的な救命するための処置をするにはどうしても医療の手を加えなければなりません。そこで救助隊の判断によってDMATの派遣要請が行われます。

そして災害現場に派遣されたDMATは現場の救助隊と連携をとりながら救命のための最小限の医療を施します。

こういった災害現場での医療は通常の救急医療とはかなり異なります。一人の患者に最大限の医療資源を投入するのが救急医療です。

しかし、災害現場での医療は限られた人員、限られた医療資源、限られた条件下で同時に多数の負傷者を診療、治療しなければなりません。何もかもが圧倒的に不足しています。

ナポレオンの言葉にこんな言葉があります。ナポレオンは軍隊を率いて他国と戦争をしていたのはご存知だと思います。戦場では敵味方の大勢の負傷兵が発生します。衛生兵が負傷者の手当てを行いますがそれを見てナポレオンは「一人を助けるために十人を殺してはならない」と言いました。

災害医療も冷たいようですがこれに近いものがあります。「十秒迷えば一つの命が消えていく」と言われる災害現場ではどんなに頑張っても助からない命ではなく助かるかもしれない命に人員、時間、医療資源を投入すべきという考えがあります。そうしなければたくさんの助けられる命を助けられなくなる助かる命も失ってしまいかねないからです。

何か命を切り捨てているような感じと捉えている方も多いと思います。DMAT隊員である私もそんな感じをしています。でもこれが過酷な災害現場なのです。

危険な災害現場に赴くDMAT

私たち看護師は病院など屋内で安全が確保されたところで医療や看護を実践しています。

激しい地震とかなければ建物が倒壊したり上から何か落ちてきたり何かが倒れてきてその下敷きになるということはまずありません。危険なものが風に乗って飛んできてぶつかるということもありません。

また天候にも左右されることもありません。室温もいつも整えられていて快適な環境で仕事をしています。

しかしDMATの隊員は違います。

まず災害現場で活動を行う際は常に安全が確保されているとは限りません。現場活動している最中にも上から落下物が落ちてきたり倒壊する壁や建物があり下敷きになる可能性があります。強風が吹き荒れていれば何か危険なものが飛んできて体に当たるかもしれません。

災害現場が常に天候が晴れていてポカポカ陽気の中で現場活動する。ということが常ならばいいのですがそんなことはまずないでしょう。風が吹き荒れているかもしれません。

大雪になっているかもしれません。洪水になるほど雨が降り続けているかもしれません。熱中症になる恐れもある中に真夏の屋外で湿度も高く気温も三十度を超える中で活動するかもしれません。

その逆に真冬で凍てつくような環境の中で隊員自身が凍りつきそうになりながら活動するかもしれません。そして昼夜を問わずです。

個人装備ではヘルメット、ゴーグル、ヘッドライト、手袋、不燃性を兼ね備えた防寒性能があるユニフォーム、肘パット、膝パット、足底やつま先に鉄板の入ったブーツ。隊員の体を守るのはこれしかありません。

参考:DMATの個人装備について

現場はすごく混乱していますしいつ二次災害が起きてしまっても不思議ではないところです。地震、洪水、大雨、大雪、強風そんな場面を思い起こしていただければ想像はつくのではないでしょうか?

医療資源もわずか、投入できる人員もわずか刻一刻と失いかけている命と向き合い自らの命も危険にさらされながら時に救助隊とともに瓦礫の下へ瓦礫の中をかいくぐることから瓦礫の下の医療、瓦礫の中の医療と言われるゆえんがここにあるのです。

「即興医学」という言葉をご存知でしょうか?

災害現場では医療器具が不足することが多々あります。しかし無い物ねだりしていては前に進めません。応用的に医療器具を流用することもあります。これが即興医学です。そんなことを施しながら命を繋ぎとめていきます。

このように危険を承知の上で一人でも多くの救命そして社会復帰ができるような医療を行うのがDMATの最大の使命と考えます。

強靭な肉体強靭な精神が多くの命を救う

災害現場はなんども言いますが過酷です。泣き叫んでいる負傷者、血を流している負傷者、腕や足がない負傷者、見るに耐えられない遺体なども直視しなければなりません。

強靭な肉体、強靭な精神力の持ち主。DMAT隊員としての重要な資質の一つと考えます。すべては救命のために、被災者の方々のために。







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