DMAT看護師のヨッシーのブログ

ER看護師でDMAT隊員副隊長を務めているヨッシーのブログです。DMATに関する情報、日々のDMATの業務、看護の技術について等、DMAT看護師に興味を持っている方に役立つ情報を発信していきます。

災害超急性期における心のケア

      2016/05/14

DMATが出場する災害現場というのは被災者の方々は外傷という身体的な傷を負っています。それと同時に多くの被災者の方々は心的外傷(以後トラウマとする)も同時に負っています。

そのトラウマによって様々な身体的反応や精神的反応を呈するがこの反応は決して病的なものではなく誰にでも見られる正常な反応と言われています。何故なら被災しなければこのような症状は見られないのですから。

ではトラウマを負ってしまうとどのような反応が見られるのでしょうか?

生理的反応

まず身体的反応ですが交感神経が亢進してしまうので血圧の上昇、呼吸数の増加、心拍数の増加、発汗、手の震えなどが見られてしまいます。

精神症状として茫然自失、集中力や記憶力の低下、怒り、自責感、恐怖、イライラ、不安感、怒り、悲しみ、感覚鈍磨などが見られてしまいます。

この中で重要なのが怒りです。この反応は時として救援者であるものに向けられることがあるので対応には注意が必要です。その逆に罪責感で自分だけ生き残ってしまったという負い目も多く見られます。

病的反応

次に災害後のストレス反応をお伝えしたいと思います。

この災害における病的な反応が一ヶ月に満たない場合は急性ストレス障害(ASD)と言われ障害が一ヶ月以上継続する場合を心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれています。

主症状はどのようなものかというと再体験(侵入)、回避と反応性の麻痺、持続的覚醒の亢進、解離性健忘がありお伝えしようと思います。

再体験(侵入)

起こってしまった出来事を何回も繰り返して思い出してしまうことです。嫌なことは誰でもすぐ忘れたいものですが再び感じたり同じことが起きているようなフラッシュバックと呼ばれるものが起きてしまいます。

回避と反応性の麻痺

トラウマを体験してしまったことでその感情や思考を避けようとしたりその場所や人を避けようとする。未来が短縮したような感覚を持ってしまったり重要な活動への関心や参加の減退、他の人からの孤立、疎遠感、感情の縮小(愛情が持てない)などが見られます。

持続的覚醒の亢進

不眠、ちょっとした刺激による怒りの爆発、過剰な驚愕反応、集中困難、過度の警戒心などが見られます。

解離性健忘

時間がスローモーションのように流れていったり夢の中の出来事と感じたり記憶の欠損や欠落、混乱、困惑などの少女胃がありきちんと意識があり覚醒しているにもかかわらずその時の記憶がないことです。

被災者へ心のアプローチ

DMAT隊員が行うべき心のケアとしてやるべきことややってはいけないことなど被災者の方々の心へどのようにアプローチするかをお伝えさせていただきます。

まずは状況説明をきちんとすることです。自己紹介から始まり今からどのようなことをするのかどのようなところへ搬送されていくのか傷病者が置かれた状況をしっかりと説明することです。当たり前のことなのですがこの状況説明が不安を少しでも解消することになりケアの第一歩となるからです。

励ましの言葉も注意しなければなりません。慢性期の被災者には「がんばれ」「きっと良くなりますよ」などの声かけはかえって逆効果となってしまいますが災害超急性期にはDMAT隊員が書ける力強い言葉は大いに力づけるでしょう。

心的なことの裏にはもしかして身体的な症状が隠れているかもしれないので見逃さないようにしなければなりません。

例えば「地震がまた来るかと思うと胸が締め付けられるような痛みになる」このような訴えを聞いた時被災者本人でさえも心の問題だと感じてしまう。実は狭心症の発作だったという話もよくあります。

誰でもそうですが辛い時や悲しい時、ショックが大きい時は人間の防衛反応(自分の心と体を守る反応)が見られます。どのように見られるかというと何事もなかったかのように冷静に振舞うことです。そのような時は無理に踏み込まないようにすることです。

そのような配慮も必要になってきます。思わず声をかけたくなってしまいますがそんな時はそっとそばにいるなどの配慮が必要です。

解離症状がつい場合や錯乱に近い混乱状態が見られた時は専門家の診察が必要になってきます。必要と感じたら専門家の診察へとつないでいきましょう。

DMAT隊員が行う災害超急性期の心のケアとは被災者の方々の命を救うという鋼のような意思と真摯な態度を伝えることから始まります。

ここでいう心のケアとは決して専門家が行うようなケアだけがケアではなく意識せずとも全人的苦痛を持つ被災者の心の声に耳を傾けて全力でできることを活動する。

このことはそんな言葉をかけられるより何よりも被災者の方々の心に響きわたると思います。被災者が置かれた立場を自分の身に置き換えてみればその辛さや心の闇はとても深いものとわかると思います。

家や家族を失うなど多くのものを被災者の方々は失っています。DMATの活動を考えると心のケアは不要で身体所見だけ見ればいいじゃないかという声も聞かれると思います。

でもDMATの活動はそれだけではないことをご理解していただけたと思います。







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